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インフレ・デフレ・スタグフレーションへの備え方
物価が上がる・下がる・不況と物価上昇が重なる、それぞれの局面で有効とされる備え方と、動き始めるタイミングの考え方を整理する。
物価は、上がり続ける(インフレ)こともあれば、下がり続ける(デフレ)こともあります。また、景気が良くないのに物価だけが上がる「スタグフレーション」という局面もあります。どの局面にいるかによって、現金・預金や投資の実質的な価値の動き方は変わります。
ここでの内容は、それぞれの局面で一般的に有効とされる考え方の整理です。特定の商品の購入や売却をすすめるものではありません。将来の物価や相場がどう動くかは誰にも確実には分からないため、最終的な判断はご自身の状況に合わせて行ってください。
なぜ物価の変化を気にする必要があるのか
物価が上がるインフレの局面では、同じ金額で買えるものが少なくなります。現金や、利息のつかない・低い預金だけで資産を持っていると、金額自体は減らなくても、実質的な価値(買えるものの量)は目減りします。
逆に物価が下がるデフレの局面では、同じ金額でより多くのものが買えるようになります。現金の実質的な価値はむしろ増えますが、デフレは多くの場合、企業の収益や賃金の伸び悩みと同時に起こりやすく、経済全体にとっては望ましくない状態とされています。
インフレへの備え
物価が上がる局面では、物価の上昇に連動して価値が上がりやすい資産を組み合わせておくことが、一般的な考え方です。株式は、企業が値上げによってコストの上昇を販売価格に転嫁できれば、売上や利益の増加を通じて株価にプラスに働くことがあります。不動産やREIT(不動産投資信託)は、家賃や不動産価格自体がインフレに連動して上がりやすいとされています。金(ゴールド)は、歴史的にインフレ局面で選好されやすい資産です。
一方で、現金・預金や、固定利付の債券は、インフレが進むほど実質的な価値が目減りしやすい資産です。インフレ対策としては、資産のすべてを現金・預金に置かず、値動きのある資産にも分散しておくことが基本になります。
- 株式(個別株・投資信託):企業の価格転嫁力を通じて恩恵を受けやすい
- 不動産・REIT:賃料や不動産価格の上昇に連動しやすい
- 金(ゴールド):インフレヘッジとして伝統的に保有される
- 外貨建て資産:自国通貨の実質的な価値が下がる局面で、相対的な目減りを緩和できることがある
インフレ対策を行うタイミング
インフレが明らかになってから慌てて動くと、すでに価格が上がったあとに買うことになり、効果が薄れることがあります。物価上昇の兆候が出始めた早い段階、あるいは兆候が出る前から、資産の一部を値動きのある資産に分散しておくという考え方が基本です。
相場や物価のタイミングを正確に当てるのは難しいため、一度にまとめて動くのではなく、毎月一定額を買い付ける「ドルコスト平均法」のように、時間を分散して少しずつ資産配分を整えていく方法が、個人にとっては現実的な進め方とされています。
デフレへの備え
物価が下がる局面では、現金・預金の実質的な価値はむしろ増えます。デフレ下では、企業の売上や利益が圧迫されやすく、株式などのリスク資産は苦戦しやすい傾向があります。そのため、デフレ局面では、現金・預金の比率を保つこと自体が、結果的に有効な対策になることがあります。
ただし、デフレは物価だけでなく、賃金や雇用の伸び悩みを伴うことが多い点に注意が必要です。日本は1990年代後半から2000年代にかけて、長期的なデフレを経験しました。収入が増えにくい局面では、支出を見直し、生活防衛資金(当面の生活費の数か月分の現金)を厚めに持っておくことが、物価だけでなく収入面の変化にも備える意味で重要です。
デフレ対策を行うタイミング
物価の下落が続き、企業の業績や雇用にも影響が広がり始めた段階では、新たに大きな借り入れをする、リスクの高い投資に資産を集中させる、といった判断は慎重になったほうがよいとされています。デフレでは、借金(特に固定金利のローン)の実質的な負担はむしろ重くなるため、無理のない返済計画を保つことが大切です。
スタグフレーションへの備え
スタグフレーションは、景気が後退・停滞しているにもかかわらず、物価が上昇する局面です。企業の収益が圧迫される一方で物価は上がるため、株式にとっても債券にとっても厳しい局面になりやすいとされています。物価を抑えるために中央銀行が金融を引き締める(金利を上げる)ことが多く、これも株式・債券の両方に逆風となりやすい要因です。
このような局面では、株式・債券のどちらかに資産を集中させるのではなく、値動きの性質が異なる資産(金やコモディティなど)を組み合わせて分散しておくことが、一般的に有効とされています。1970年代の石油危機のように、インフレと景気後退が同時に進んだ局面では、金が相対的に選好された例が知られています。
スタグフレーション対策を行うタイミング
景気の後退(企業業績の悪化や雇用の鈍化)と、物価の上昇が同時に進み始めた段階が、スタグフレーションの兆候です。この段階では、新しい投資を一気に増やすよりも、生活防衛資金を確保し、過度に借り入れに頼った投資(レバレッジ)を避けるなど、守りを固めることが優先されやすい局面です。保有資産の分散状況を見直すきっかけとして捉えるとよいでしょう。
共通して言えること
- どの局面になるかを事前に正確に当てることは、専門家でも難しいとされています。局面が変わってから動くのではなく、普段から資産を分散しておくことが、結果的にどの局面にも対応しやすい備え方です。
- 一度にまとめて投資するのではなく、時間を分けて少しずつ投資する「ドルコスト平均法」は、タイミングを読む難しさを和らげる方法として知られています。
- 当面の生活費をまかなえる現金(生活防衛資金)を確保したうえで、残りを資産形成に回すという順序は、どの局面でも共通して大切な考え方です。
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